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SSSエキシビション レポート Part.2 天王洲 MYAF2024

MYAF02 SSSエキシビション Part.2
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松田将英/かもめマシーン/森山未來《S∧S∧S》②/中間アヤカ/ボマ・パク

目次

▶ 松田将英 《Emergency Stacks》

窓から振り返ると、そこには白いボードに設置された謎の作品が登場しました。

あれは一体。

なんだろう。

スチール製の棚に、ペットボトルが入っています。

松田将英の《Emergency Stacks》でした。

松田将英と言えば、絵文字をモチーフにした巨大な作品が有名ですが、今回はかなり雰囲気が違います。

キャプションを見てみると、作品名は《Emergency Stacks》でした。

思わず「なるほど〜!」と唸りました。風刺がきいていますね。

タイトルを知ってから改めて作品を眺めると、松田将英らしく見えてくるから不思議です。流石。

松田将英 《Emergency Stacks》
Shoei Matsuda 1986年神奈川生まれ。 札幌拠点。
2023 飲用水の入ったスチール・ボックス

松田将英は、予測困難な時代に柔軟に対応し、姿や名義を更新し続けるアーティスト。この《Emergency Stacks》 は、歴史的なアートの名作へのオマージュと現代的再解釈を融合させた作品シリーズの一つ。日本独自の防災意 識を取り入れ、「フェーズフリー」の概念を作品に組み込み、形状は歴史的なミニマルアーティストであるドナルド・ ジャッドの作品のスタイルを用いている。日常時と非常時の価値を共に持つ作品。

松田将英 | MEET YOUR ART FESTIVAL 2024「NEW ERA」
https://avex.jp/meetyourart/festival/artist/detail.php?id=492
X : https://x.com/shoeimatsuda
Instagram : https://www.instagram.com/shoeimatsuda/

https://twitter.com/bijutsutecho_/status/1759699382746644555

▶かもめマシーン《ガザ・モノローグ 伝言ダイヤルver.》

ペットボトルの裏側に回ると、何やら怪しげなブースが表れました。

壁で仕切られたスペースに人が座っています。何しているのかな。

受話器を持っている人がみえます。え、電話している?

何をしてるのか分からないまま、とりあえず並んでみることに。列が進むと、ブース内の様子が見えてきました。

多数の封筒やメモが見えます。何をしているのかは、まだ分かりません。

自分の番が来たので、着席。

すると壁に『ガザ・モノローグ 伝言ダイヤルver.』使い方 – と題した紙を見つけました。

この不思議な作品は、かもめマシーンの《ガザ・モノローグ 伝言ダイヤルver.》という、電話を利用した作品のようです。

「皆、座って何をしているのかな?」と不思議でしたが、「受話器でメッセージを吹き込む/聞いていた」訳なんですね。

▶《ガザ・モノローグ 伝言ダイヤルver.》を使ってみる

「使い方」に従い、私は『再生/PLAY(Dlal2)』から『モノローグを聞く』を選択しました。

すると、ほどなくして受話器から男性の音声が聞こえてきます。

囁くような声で、時々つっかえながら、音声は淡々と続きます。

内容は、ガザ地区の現状を伝える体験記。

どうやら再生された音声は、『録音/REC(Dlal1)』を選択した誰かが、この場所で吹き込んだ音声のようです。

こちらはその音声を、「受話器を耳に当てながら聞く」ので、まるでガサ地区から自分宛てに電話があったような錯覚に陥ります。

読み上げられるモノローグは、「実際に空爆や地上侵略を経験した10代の人々によって書かれた手紙を、日本語に翻訳したもの」だそうです。

ガザ・モノローグ 日本語訳
https://gazamonologues-jp.com

ともすると遠い地域・自分とは無関係と感じてしまうガザ地区の現状が、一対一の対話として私の耳に届く。自分に語りかけてくる。

なんとも不思議な体験でした。

かもめマシーン《ガザ・モノローグ 伝言ダイヤルver.》2024
回転式ダイヤル電話

2020年より電話回線を用いて一対一で上演する「電話演劇」に取り組んできた、かもめマシーンの新作。本作では、イスラエルによるガザの大規模侵攻を経験した人々が書いたモノローグ集『ガザ・モノローグ』を扱う。用いるのは、災害用伝言ダイヤルの形式である。観客自身がテキストを読み、聴く。小さな声で親密に、誰かひとりからもうひとりへ。その小さな行為を通じて、彼の地の状況を、そしてあまりにも大きな悲しみや怒りを、分かち持つ可能性を 探っていく。

かもめマシーン | MEET YOUR ART FESTIVAL 2024「NEW ERA」
https://avex.jp/meetyourart/festival/artist/detail.php?id=711

▶「箱」を発見。 森山未來《S∧S∧S》②

《ガザ・モノローグ 伝言ダイヤルver.》の後方には、広々とした空間が広がっています。

仕切りのないオープンスペースで、複数の作品を一望できます。

建物の構造体と作品の境目があいまいで、空間すべてが作品のように見えます。連続体ですね。

複数の大型作品が連続体のように配置されている。

そして不意に、床に置かれた箱を発見。

森山未來S∧S∧S》 Sand S or S (Means by logical expression) 2024 #MYAF

「あ、箱だ!」

先ほど、森山未來 /〈S∧S∧S〉のボードにあった「会場内のどこかにある「箱」に投函してください。」の一文を思い出しました。

「きっと、この箱にさっきの紙をいれるんだろう。」

ですが、ここで疑問が浮かびます。

「本当にこの箱でいいのかな・・・。」

箱があまりにも無造作に置かれているので、どうも確信が持てません。とりあえず、箱の周りをぐるぐる回ります。

ちょっと動かしてみようと思いたち、手を添えて持ち上げようとしてみました。すると…。

「え、重い!!!!」

箱は見た目よりはるかに重く、持ち上がりません。

本当になんだろうこれ。「紙」を入れるにしては重すぎる。すっごい重い。これはもしかしたら、会場設営用の備品なのかも。

「でも穴があるし、穴があるなら差し込んでみたい。」
「とは言え備品だったらどうしよう。」

という思いが交差して、紙を穴に差し込んだり、引っ込めたりをしていました。

ですがある時、紙が内側からグイっと引っ張られて、箱に回収されてしまいました。

「ギャー!!!箱の中に人がいるぅ~っ!!!!!!!!」

衝撃的な体験でした。

そしてこの後、何度も「箱」に驚かされることになります。

「森山未來《S∧S∧S》 Sand S or S (Means by logical expression) 2024 ③」

▶中間アヤカ 《翔んで天王洲島》

「箱」の衝撃も束の間、会場で変な人と遭遇しました。

これはお客さんなのか。それともアーティストなのか。一瞬では判断できません。

戸惑いながら眺めていると、こっちにくる!

コミカルな動きでファンシー。それでいてスペーシー。

自由っていいな、自由を感じる!!

どうやらこれはダンズパフォーマーである中間アヤカさんの《翔んで天王洲島》という作品のようでした。

会場内を移動しながら、〈ポーズを決める・座りこむ・急に走り出す・小道具と戯れる〉など、鑑賞者にその奇抜な姿を見せつけてきます。

ついて行ってみます。次は何をするのかな〜。

「バーン!!」

《逆算の風景》を背景に、かっこよくキマりました。

パフォーマーが会場内を移動することで、パフォーマーと鑑賞者、他のアーティストの作品の間に、コラボレーションのような自然なつながりが生まれたのを感じました。

今回のエキシビジョンのように、多数の大型作品が展示されている空間にぴったりのパフォーマンスですね。

中間アヤカ《翔んで天王洲島》2024
1992年別府(大分県)生まれ。神戸拠点。
Instagram: https://www.instagram.com/ayaka_nakama/

神戸を拠点に活動する中間アヤカは、劇場内に「底」を塗ったり、空き地に仮設劇場を建てたりと、舞台と客席の 境目を大態かつ軽やかに問い直し、ダンスの可能性を押し広げてきた。今回中間は、初めて訪れる天王洲の姿形を捉えるため、まず歩くことから始めてみる。旧東海道のほど近く、四方を運河に囲まれた倉庫街をしばし歩き、眺め、人とすれ違う。舞台のために整えられた綺麗な身体ではなく、太陽と風に晒されて少し疲れた身体で挑んでくる。都市と劇場を、外と内とを反転させる。

中間アヤカ | MEET YOUR ART FESTIVAL 2024「NEW ERA」
https://avex.jp/meetyourart/festival/artist/detail.php?id=737

▶ボマ・パク《真昼の黒水》

会場の中央付近に、黒い柵のようなものがありました。

黒くてトゲトゲしていてかっこいい。

ゆらゆらと揺れる謎のオーナメントも可愛い。

見るたびに、微妙に配置が変化してる。

当日は会場内でキャプションを発見できず、てっきりオシャレな可動式パーテーションと思っていましたが、後でこちらも作品だと分かりました。

パフォーマンス時には、実際に人の誘導や仕切りとしても機能していたので、不思議な作品です。

闇っぽいのに可愛いくてオシャレでした。

ボマ・パク《真昼の黒水》

光と物質の関係を探求することで、世界は存在しないという概念を考察している。彼女は、印象、感情、瞬間、感覚といった雰囲気における物質性、その力、そしてその反復性(再生)を探求する一方で、さまざまなメディアや拡張させたアイデンティティを通して、これらの概念を外的な出来事として表現することを試みている。パクはマーテルで調香師として働いている。

ボマ・パク | MEET YOUR ART FESTIVAL 2024「NEW ERA」
https://avex.jp/meetyourart/festival/artist/detail.php?id=445

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